暮らし

パーマカルチャーとは?

「サステナブルな暮らし」といえば必ずと言っていいほどでてくるパーマカルチャー

この記事では、そんなパーマカルチャーについて、そもそもどんなものなのかをご紹介します。

パーマカルチャーという単語は聞いたことがあるけれど、いまいちどんなものなのかわからない
という人も多いんじゃないでしょうか。

パーマカルチャーと、そこに僕が感じている魅力について、できるだけシンプルに書いていきたいと思います。

 

パーマカルチャーとは

よく言われるのは、

permanent(永久な)と、agriculture(農業)、さらにculture(文化)という3つ単語を組み合わせた造語で、恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン手法です。

みたいな感じで説明されることが多いです。

ややこしいのが、語尾が「カルチャー」なのに「デザイン手法」だということ。

確かに「文化」でもあるんだけど、なんなのかと聞かれたらデザイン手法のほうが伝わりやすいと思うんですよね。

だから僕は人に説明する時は、パーマカルチャーデザインという言葉を使うようにしています。

「パーマカルチャーデザイン」って長いから、「パーマカルチャー」って言われがちなんですよね。

ちなみに、デザインってなんだと思いますか?

デザインという言葉を聞くと、グラフィックデザインが頭に浮かぶ人も多いかもしれませんが、ここでは「何かを達成するための手法」としてのデザインを指しています。

かがりん
かがりん
なるほど、”恒久的持続可能な環境”とやらを達成するための手法なんやね

恒久的持続可能な環境って?

「恒久的持続可能な環境」て。難しいですね。漢字いっぱいで。

違う言葉で僕なりに表現すると

持続的ないかしあうつながり

です。

もうちょっと砕くと

みんなの可能性を活かした、持続的で幸せな生き方をデザインしよう!

って感じです。

かがりん
かがりん
めっちゃ抽象的やけど、雰囲気は伝わった

 

ちなみにこのパーマカルチャー、もともとは農業に特化した意味で使われてきたんですが、最近ではだんだん「暮らしのデザイン」「コミュニティデザイン」などに対しても用いられるようになってきています。

都市部での暮らしに特化したアーバンパーマカルチャーや、

人間関係やコミュニティのデザインに特化したソーシャルパーマカルチャー

といった言葉で分類分けされたりもしています。

「あれ、この人が言ってるパーマカルチャーと、俺が思ってるパーマカルチャーがなんか違う気がする」

って場面があったら、多分それぞれが意図している意味がずれているからだと思います。

かがりん
かがりん
言葉が意味することの認識のズレはこれに限らずよくあるよね

生まれた背景

パーマカルチャーは、1970年代に、オーストラリアの科学者であるビル・モリソンとデイビット・ホルムグレンが提唱したのが始まりです。

その背景にあったのは、地球への想いやりでした。

科学者だった彼は、近代的な工業型農業が起こしている自然破壊と非持続可能性に気づき、「このままじゃヤバい」と環境破壊に対する反対運動をしていました。

でも反対運動って疲弊するんですよね。何かに対して「やめろ!」というのにはすごいエネルギーが必要だし、あまり持続的なエネルギーになりにくいと思います。

ビルも反対活動で疲弊していくだけの自分に気づき、発想を変えました。

「NOではなくYESを言おう」

つまり、これをやめろ!というばかりではなく、こういうことをしたいんだ!というYESを自分が体現していこう、という方向に切り替えたんです。

こう言った背景からパーマカルチャーは生まれました。

ちなみに、この「NOではなくYESを言う」ということ、NVCにも通じる部分なんですよね。

「してほしくないことではなく、してほしいことを言葉にしてリクエストする」とか

「相手のNOの中にどんなYESが隠れているのかにフォーカスする」とか。

パーマカルチャーとNVCの親和性をまた一つ感じました。

「何かをやめさせようとする場合、そこには暴力が生まれる可能性が高い」

という言葉を思い出した。
ビルは非暴力の精神を持っていたのかもしれませんね。

これがビル・モリソンの本。でも大学の教科書みたいな感じで、最初に読むにはちょっと難しいかも。合宿など参加して理解が進んでから読むとめっちゃ面白いです。

これが僕が初めて読んだパーマカルチャーの本。パーマカルチャーだけでなく、NVCやマインドフルネスなど、近い分野のことも書いてくれてる。
フルカラーで写真やイラストもいっぱいでこの値段!利益じゃなくてパーマカルチャーを広げて行くことを意図して海くんが作った本です。
読みやすいので本が苦手な人にもおすすめ。

パーマカルチャーデザインの倫理と原則

パーマカルチャーには3つの倫理と10の原則があります。

3つの倫理は、大切にする価値観、行動するときの基準となるようなものです。

10の原則は、課題を解決していくとき(=デザインしていくとき)に活用する、考えるべき要素のようなものです。

パーマカルチャーの3つの倫理

1. care for the earth(地球への配慮)

2. care for the people(人への配慮)

3. fair share  (分かち合い)

これら3つが、パーマカルチャーの基盤となっている価値観です。

地球への配慮は、先ほど背景でもお伝えした通り。

地球へのインパクトを考え、持続可能な生き方をデザインしよう、ということです。

人の配慮については、環境への配慮ばかりいき過ぎてしまうと、

めちゃくちゃ暑くて死にそうやけどエアコンは環境に良くないから我慢!!!

といったように苦行になってしまいます。こんなストレスの中で生き続けることは精神的に持続可能ではなさそうですね。

地球への配慮もしながら、快適な暮らしをデザインしよう、ということです。

そして、ソーシャルパーマカルチャー的な文脈では、相手も自分も大切に扱おう、という意味もあると思っています。

そして最後の分かち合いについて。

自然は、豊かさを無償で分かち合ってくれています。

この自然からいただいた豊かさを、他の人にも分かち合おう、ということです。

自分のギフト(才能)を分かち合う、という意味もあると思っています。

https://www.kagarin.work/mind/gift-ecology-2/

パーマカルチャーデザインの10の原則

人によって12だったり、日本語訳の仕方が違ったりするんですが、自分の中でしっくりくる言葉に少しアレンジしてみました。

パーマカルチャーデザインの10の原則
1. つながりのある配置
2. 多機能性をもたせる
3. 重要機能のバックアップ
4. 効果的なエネルギーの流れを計画する
5. 再生可能な資源を活かす
6. エネルギーを循環させる
7. 小さくシンプルなシステム
8. 自然の流れに逆らわず、活かす
9. 多様性を活かす
10. エッジの豊かさを活かす

1. つながりのある配置

「それぞれの要素を効率よく機能させるために、どのように配置するのがいいかを考えよう!」ということ。

例えば、家・鶏小屋・畑という3つの要素があるとき、上の画像のように家・畑・鶏小屋という配置にすることで、

畑で出る野菜クズを鶏に活用し、鶏の出す鶏糞を畑に活用する

という関係性がより効率よく、無駄のない滑らかなものになります。

これをうまくデザインするために必要なのが、それぞれの要素の特徴と、それぞれから生まれるもの(アウトプット)、必要とするもの(インプット)を理解すること。

例えば、鶏の特徴とインプット・アウトプットはこんな感じです。

それぞれの特徴を理解した上で、

その要素が必要なインプットが他の要素から供給され、

その要素から生まれるアウトプットを他の要素が活用する

というような配置をデザインしよう!というのがパーマカルチャーの原則の一つ目です。

ちなみに、これをソーシャルパーマカルチャー的に考えると、

友人知人とものをシェアしたり、困りごとを解決するためのグループ

だったりします。
これは実際にいすみにある地域通貨コミュニティがそうなんですが、つながりを生むことでそれぞれの「できること」と「してほしいこと」という凸凹がはまり合う、素敵なデザインになっていると思います。

 

2. 多機能性をもたせる

stacking function って海くんがよく言ってる。

僕これ大好きなんですよね。親が持ってたマルチツールとか、中高生のころ謎に憧れたなぁ。

これは名前の通りで、「それぞれの要素ができるだけ多くの機能を持てるようにデザインしようね」ということです。

例えば、アカシアの木は、鳥の食べるタネを供給し、葉は家畜の餌になるし、落ち葉は土壌を肥沃にする。土壌中には窒素を固定し、花はミツバチのための花粉も供給する。

このように、その要素が持つ特徴やインプット・アウトプットを、できるだけ様々な形で活用できるようにデザインすることとも言えます。

ソーシャルパーマカルチャーに当てはめると、例えば地元のカフェ。

ランチもできるし、地元の友人と快適に話す場所としても使えるし、観光客がくつろぐ場所としても使えるし、作業する場所としても使える。さらに地元の農産物を売る場所にもなっている。

このように、カフェはいろんな機能を持ち合わせています。

おそらく、多くのカフェはどんな機能をもたせるかを意図しているわけではないと思いますが、パーマカルチャーではそこに意識を向けながらデザインしていきます。

また、ミーティングなどで時間当たりの価値を最大化させるファシリテーションなどもこの原則に当てはまりそうだなぁと思います。

 

3.重要機能のバックアップ

水や食べ物、電気や暖房など、「生活していく上で重要な機能を持つ要素は、複数の方法を用意しておこう」ということです。

本当に必要なものを何か一つの部分に依存していることのリスクは、災害のニュースを見るたびに感じますよね。

例えば、水だったら雨水や井戸水、水道水も使えるようにしたり、食べ物だったら異常気象にも強い作物を育てたり、保存食を作っておく。電気ならソーラー発電のシステムを用意しておくことができるし、暖房ならそもそも熱効率を考えたパッシブハウスに住むことや、薪ストーブを用意しておくこと、太陽熱温水器をつけておくことなどがあります。

ソーシャルパーマカルチャーだと、重要な情報はコミュニティの中で共有しておくこととか、重要な役割は急にその人ができなくなった時に代わりに誰かができるようにデザインすることだったりかなぁ。

 

4.効率的なエネルギーの流れを計画する

これ、名前どうするか悩みました。できるだけ簡単な言葉で表現したくて。
でもちょっと長くなってしまった。代替案募集してます。笑

この計画は、大きく3つの視点から計画します。

ゾーニング


ゾーニングとはそこをどのくらいの頻度で使用するのかをzone0~5で要素ごとに区域分けし、移動を短縮することでエネルギーを最適化します。

zone0:活動の中心
家、納屋など

zone1:毎日利用する要素
菜園、作業場、キッチン、コンポストトイレ、洗濯物干し場、など

zone2:定期的な管理が必要な区域
畑、マルチ、小さな果樹、ハーブ、世話が必要な動物、など

zone3:定期的な管理はほとんど必要ないが、必要時に簡単に行ける区域
世話の必要ない果樹、牧草、家畜、植林

zone4:ほとんど無管理の半野生の地。たまに収穫にいく程度の区域
山菜、きのこ、材木となる樹木、放牧地、狩猟

zone5:管理されていない自然な生態系、瞑想の場

頻繁に使うzone0,zone1のデザイン計画は、その部分の効率が大きなインパクトをもたらすので特に重要です。

外部から流入してくるエネルギーの活用計画

区分プランニングとか呼ばれたりします。イメージしずらいので名前を変えちゃいました。

何かというと、太陽の光、風、雨、水の流れ、音、景色など、デザインしているフィールドの外部から流入してくるエネルギーを管理し、活用するためのデザイン計画です。

夏の暑い日差しや冬の寒い風、見たくない景色や騒音、山火事など、必要ないエネルギーは遮るように建物や植物を配置し、

夏の涼しい風や冬の暖かい太陽の光、池からの反射光などの取り入れたいエネルギーは必要な箇所に取り入れられるように誘導します。

建築の「パッシブハウス」とかとも繋がってくる観点ですね。

高低差の活用計画

高度プランニングとか言ったりします。

上にあるものが下に落ちていく重力の力と、空気の流れ(暖かい空気は上に、冷たい空気は下に行く)を活用できるようなデザイン計画です。

高いところで水を貯めることで、ポンプなどを使わずに落差を利用して水を使えます。

生活で使った水をガーデンに使えるようにしたり、バイオジオフィルターを作ったり。

太陽熱温水器のパネルを下に、タンクを上に置くことで、パネルで温められた水はタンクに上がり、その分タンクからパネルに水が送られ、また温められる。
このように、電気を使わずに水を循環させることもできちゃいます。

傾斜がある土地だと、夜の冷たい空気は下に降りてくるので、それを受け流してくれるようなデザインにすることもできます。これはさっきの「外部から流入してくるエネルギー計画」とも重なる部分ですね。

他には、家より低い場所に池を作ることで、冬場は池の水が蓄熱して、夜に暖かい空気が家を温めてくれる。夏の夜は池の水が冷たくなるので、冷やされた空気が生まれる。これが上にある暖かい空気が上に上がることで引き上げられ、冷たい空気が家に入ってくる。

以上の三つの観点からエネルギーの流れを計画するということがこの4つ目の原則です。

5. 再生可能な資源を活かす

「それ、自然なもので代用できない?」ということです。

植物や動物は、それぞれいろんな特性があっていろんなことに活用できます。

例えば、芝刈り機の代わりに草食のガチョウやヤギに食べてもらう。
窒素肥料を使う代わりに緑肥やマメ科の木を使う。
殺虫剤の代わりに捕食昆虫を誘引してくれるセリ科やキク科の植物を植える。
池を作って昆虫を食べるカエルを集める。
耕運機の代わりに鶏に耕してもらう。ビニールマルチの代わりに雑草で覆う。
化粧水をドクダミで手作りする。

たくさん代用する方法はあります。
しかも、これらは土地をどんどん豊かにしてくれる。

無理のない範囲で、できるだけ自然なものを使って暮らしていくことも大切な観点です。

 

6. エネルギーを循環させる

「この要素から出るものをどう使うと価値を最大化できるだろうか?」を考えて、できるだけエネルギーがデザインの外に漏れ出ていかないようにすることです。

例えば、僕らの暮らしの中でも色んなエネルギーが外に出ています。

料理をすると生ゴミが出るし、
お風呂に入ったり、食器を洗ったりすると水が出るし、
トイレに行くとおしっこやうんちが出るし、
日用品からも紙ゴミやプラゴミなども出ますよね。

これらも、全部エネルギーなんです。

生ゴミやおしっこ、うんちは、コンポストで発酵させるという工程を挟むことで栄養たっぷりの土になり、植物のエネルギーとなります。
さらに、この発酵の過程で高温になるので、この熱を使って温水を利用することもできます。
おしっこからアンモニアを作ることで、染め物に活用できたりもするみたいです。

生活の中で出る水も、その汚れ度合いに合わせて活用することができます。
お風呂の残り湯を洗濯機に使ったりは一般的だと思います。あんな感じで、最後まで有効活用していきます。
バイオジオフィルターと呼ばれる、砂利や植物の根に住む微生物が水の中の汚れを無機物に分解し、その無機物を植物が養分として吸収することで水を浄化するシステムがあります。
こういったシステムを使って浄化した水を畑に使ったり、池の水に使うことができます。

紙ゴミは燃やすことで熱として使えるし、プラごみを活用するプレシャスプラスチックというシステムも一般公開されていたりします。

こうやって循環して使えるエネルギーを、わざわざビニール袋に入れて捨てて、ガソリンを使って一箇所に集めて、さらに化石燃料を使って燃やしているのが現状です。

かがりん
かがりん
知らなかったけど、なんだかすごくもったいないね。

これを、そのものが持っているエネルギーを最大化する形で活用したり、そのエネルギーがなくならないように保存したりしよう!ということです。

ソーシャルパーマカルチャー的な視点だと、わかりやすいエネルギーがお金。

実店舗で買うのか、amazonで買うのか。
地域の人がやってるカフェに行くのか、全国チェーンの店に行くのか。
友人が作った野菜を買うのか、外国産の安い食品を買うのか。

どこから買うのかで、エネルギーの流れ方は全然変わります。
チェーン店に流れたお金は地域から流れ出ていきます。「流れ出たお金をみんなに戻そう」という意図であるはずの法人税は年々下がっています。
グローバル企業に流れ出たお金は、日本の法律である法人税すら適用できません。

「じゃなくて、地域でお金を循環させようよ」というローカリゼーションの動きは、まさにパーマカルチャー的だなぁと思っています。

 

7. 小さくシンプルなシステムに

シンプル イズ ベスト。システムはシンプルであればあるほどいい、という原則です。

複雑になればなるほど故障やトラブルが多くなり、メンテナンスも大変になります。

今、IoTで色んなものにコンピューターが入ってますよね。
これにより便利な面もある反面、修理が難しくなり、消費のサイクルに拍車がかかっている部分もあるのではと感じています。

誰かが勝手にメンテナンスしたくなったり、植物が勝手にやってくれたり、何もしなくてもいいデザインにできたら最高です。

フィールドを適切に管理していくことも重要なポイントです。

なのでデザインする段階で、どのように維持管理していくかも考えながらデザインする必要があります。

セシリアというパーマカルチャーの先生が、「頑張らなくて良いために頑張ってるのがパーマカルチャーなんだ」って言ってました。

管理のことを考えると、スペースをいかに活用できるかも大事な視点です。
大きなスペースで何かを始めると、その維持管理もとても大変になります。

できるだけ小さなスペースに、ニーズを満たせる機能を集約していくことを意識してデザインしていきます。

植物のスタッキング

スタッキングとは、重ね合わせるという意味。同じスペースの中に、色んな種類の植物を共生させていくことで、面積当たりの収穫を最大化する方法です。

植物を大きく7つに分類して、重ね合わせていきます。

1. 長寿の大型の木  一番背が高くて大きな木(マツ、クルミなど)

2. 小型の木     短命な小型の果樹(ウメ、モモ、カシ、クワなど)

3. 低木(灌木)   多年生の灌木(ブルーベリーなど)

4. つる植物     木に登っていくつる植物(ブドウ、キウイなど)

5. グランドカバー  雑草を抑え、マルチの役に立つ短命の多年草(コンフリー、ノコギリソウなど)

6. 根類       根がしっかりしている根菜(ゴボウなど)

7. 植物       一年生の植物(マメ、かぼちゃなど)

こんな風に7つのレイヤーから、それぞれの植物の背の高さや日光要求量、水分要求量などに合わせてデザインしていきます。

小さなジャングルを作るみたいな感じですね。

時間のスタッキング

時間の重ね合わせという視点もあります。

夏は日の光を遮ってしまう木でも、冬になれば葉が落ちて下に光がいくようになるので、冬場はその木の下でも光が必要な植物が育てられます。

他にも、トウモロコシが育っている途中でサヤエンドウを植えることで共生したり、ある程度育ったらグランドカバーとなるようなさつまいもを育てたりなど、色んな植物を適切なタイミングで育てていくことで、たくさんの収穫を得られます。

「桃栗三年、柿八年」と言いますが、このように重ね合わせることで、数ヶ月でその土地から収穫物を得られるようになります。

 

 

8. 自然の流れに逆らわずに活かす

自然は、放置しておくと森になろうとします。

雑草が生えて、雑木林になって、森になろうとします。

従来の農業は、この自然の流れに逆らっています。

雑草が生えないように刈ったり、除草剤をまいたり、耕したり、肥料を施したり。

時には燃やしたりすることで、単一の作物を大量に収穫するためにこの自然遷移に逆らっています。

パーマカルチャーでは、この自然の流れに逆らうのではなく、むしろこの流れを加速させながら豊かな生態系を育てていきます。

そのための具体的なコツが4つ。

1. すでに生えているものを利用する

はじめに土を肥やすのに、すでに生えている雑草を利用します。ダンボールを重ねて積層マルチにしたり、刈り取ってほかの植物のマルチにすれば、光が当たらなくなって消えていきます。

2. 育ちやすいものを植える

その環境に合わせて育ちやすく、土を肥やしてくれる植物を植える。
パーマカルチャーでパイオニアと呼ばれるマメ科の植物は成長が早く、窒素を固定してくれたり土の中を耕してくれたりするのでオススメ。

3. 有機質を増やす

マルチや堆肥を用いることで土壌環境を良くし、自然の遷移を加速させていくこともできます。

4. 希望の植物に置き換える

現在ある自然な植物に換えて、有益な欲しい植物を育てていく。
例えばコンフリーは、雑草の中に生えて草を抑えてくれるし、収穫物にもなります。

 

9. 多様性を活かす

コミュニティとか組織において「多様性は大事だ!」ってことがよく言われてますよね。

多様なアイデア、多様なスキル、多様な文化が重なり合うことで、様々な視点から物事を見ることができ、新たなソリューションを生み出したり、お互いがお互いから学び合ってたくさんの収穫が得られる、というのはなんとなく想像できるんじゃないでしょうか。

ガーデンでもそれが当てはまるんです。

多様な特性を持った動植物が効果的に関わり合うことで、より多くの収穫が得られたり、生態系として安定することができます。

ただ注意しなければならないのは、無闇にたくさんの種類を育てればいいということではないということです。

それぞれの特性を良く観察して理解しないと、お互いに争いあう関係性になることもありうるからです。

動植物のギルド


互いにいい影響を与え合う動植物の集まりをギルドといいます。

雑草を抑制して根の競合を減らしたり、養分を提供しあったり、害虫を抑制してくれたり、害虫を食べる捕食虫の宿主になってくれたり。

お互いの特性を活かしあって、豊かで安定した生態系をつくっていくことができます。

*相性の良い植物の組み合わせについては、「コンパニオンプランツ」で調べると出てきます。

 

10.エッジの豊かさを活かす

エッジとは、二つの条件の接触面のことです。

例えば、陸と水の境界面だったり、土と空気の接触面だったり、異なる文化の境目だったり。

エッジでは、二つの要素の資源を両方使うことができるので、生産性が上がり、豊かになります。

歴史的に見ても、長く続いた文化はほとんどエッジに存在しています。

かがりん
かがりん
確かに、陸と河口の境目に文化が生まれるって歴史で習った気がする

そして、エッジの環境だからこそ生息できる種もいます。サンゴ礁やマングローブはその例で、地球上でもっとも生産性の高いシステムの一つです。

エネルギーや物質はエッジに集まりやすいというのも特徴です。

海岸には打ち寄せられた貝殻や流木が並ぶし、風に吹かれた落ち葉は垣根に集まります。
後述するエッジの面積増大で、リアス式海岸では津波のエネルギーがさらに強くなったりもします。

エッジの面積を増やすことで、さらにエッジの豊かさを増大することができます。

例えばこの図のBのように池の形を凸凹にすることで、境界面が2倍になります。

この他にも、らせん状にしたり、凸凹な高低差をつける事でエッジの効果を増大することができます。

デザインの前の重要な要素

以上がパーマカルチャーの倫理と原則で、デザインする際はこの倫理原則を意識しながらデザインしていきます。

ですが、デザインの前にとっても重要な要素があります。

それは観察すること。

その土地やコミュニティに適したデザインをするためには、そのものについて注意深く観察し、理解することが重要だから。

「パーマカルチャーデザインで一番やりがちで、やっちゃダメなのはまずデザインすること」

って僕のパーマカルチャーの先生のフィルも言ってました。

最低でも一年フィールドを観察してからするのがいいと言われているみたい。

でもすぐにデザインし始めちゃいたくなるよね…

難しいところだ!笑

僕の好きなパーマカルチャーの言葉に「problem is the solution」という言葉があります。
問題を評価せず、注意深く観察することで、問題に見えているものが解決策になるというもの。

この言葉の中にも観察するということを大事にしていることが現れていますね。

 

以上です!近いうちにパーマカルチャーデザインの具体例を紹介する記事を書こうかな〜と考えてます。

みんなも、レッツパーマカルチャー!